ストーリー(NPC)

新魔導歴五○一年  十一月度報告。


AR・CA・NA本部より各支部に通達。


先日未明、第Ⅸ地区〝ヴェスタ〟が近隣結界より溢れ出た魔術師及び魔物の攻勢を受け、甚大な被害を受けた。都市部は壊滅的状況に陥っており、応戦した第Ⅸ支部防衛魔導士団所属の魔導士達にも多数の被害が出ている。


防衛の要である特務魔導士3名が死亡しているが、敵勢力の殲滅には成功した。現在は復旧作業を行っている。


Ⅸ:No.0「ガルシア・ブラーデン」⋯魔導兵装による特攻自爆により死亡。


Venom Royer SERIES:Relic「ニュークリア」半壊、ロストシリーズに再割り当て。


Ⅸ:No.6「鐡 鉄也」⋯魔導兵装に搭乗しての対地砲撃中、魔術集中砲火を受けた事により魔導兵装が炎上爆発。帰還せず死亡したと思われる。


Venom Royer SERIES:Relic「BS・YMT」全壊。


Ⅸ:No.8「ティア・エルス」⋯孤立した小隊メンバーの撤退の為、囮となり死亡。


Venom Royer SERIES:Relic「オーロラ・フォール」回収済。


以下数十名の魔導士が死亡・重症を負っている。






調整の為、一部の魔導士に異動命令を検討中。


これを以て各支部への警告とする。










また、第Ⅲ地区周辺の結界内、南西に新規の遺跡を発見。魔導士による調査を決行する予定である。

第Ⅲ地区周辺の結界、南西方向に新規の遺跡を発見。


位置から推測すると、ヒストリア帝国において魔導技術研究の要となった学術都市の1つ、『アルタミラ』と思われる。


魔導技術における研究文献や、新規の魔導兵装の出土などが期待される為、第Ⅲ支部に所属する魔導士達を派遣し、近日遺跡調査を行うこととする。


魔術師のコロニー及び、多数の魔物との遭遇が予想される為、十分な準備と警戒を。








また、戦力増強の為、こちらより本部魔導士の派遣を行う。


現在、十一月度報告で伝えた、第Ⅸ支部襲撃における敵勢力殲滅に尽力した本部魔導士
『エーカ・デュナミス』
を第Ⅲ支部に向かわせている為、受け入れの準備を。


以下、数名の本部魔導士派遣を予定しているが、それについては後日行う。




AR・CA・NA

『本部魔導士のエーカだ。これから、よろしくな。』

【名前】
Eca(エーカ)
【性別】

【年齢】
28
【ナンバーコード】
VENOM
【役職】
本部魔導士
【容姿】
ぼさぼさと逆立った黒髪のショートヘアー。毎朝セットしている様で、稀に下ろしている事も。また、前髪は全て上がっていたり、一部垂れていたりとその日によって変わるようだ。
瞳の色は黒で、どちらかと言うと三白眼気味。
服装は茶色のジャケットに赤いインナー、黒い長ズボンを着用。
身長は186cmと高めで、体格は太過ぎず細過ぎずだが、引き締まっている。
肌の色は健康的な肌色。
【性格】
ナンバーコード「VENOM(ヴェノム)」として知られる、AR・CA・NA本部所属の魔導士。昨年11月、他の本部魔導士が第Ⅲ支部に派遣される前に先駆けて派遣されてきた1人目の本部魔導士でもある。今年の1月に一度本部に帰還し、第Ⅲ支部に帰ってきた。

明るい性格が持ち味で、人との距離はどちらかと言えば近い方。

各支部に派遣されることが本部魔導士の中でも非常に多い魔導士であり、実戦経験は豊富。当初、第Ⅲ支部に派遣される数日前には、第Ⅸ支部の魔術師襲撃に居合わせており、敵勢力の殲滅に携わった。

酒と煙草が大好きで、普段から自分のやりたい様に遊び呆けているだらしない男だったが、1月に本部に帰還し、再び第Ⅲ地区にやって来てからは、酒も煙草も程々、と言えるくらいには少なくなった。

魔導士としても一応の仕事はするようになり、特に以前は嫌がっていた雑務などもこなすようになった。

意外と器用で要領がよく、大抵の事はそつなく人並み以上にこなしてしまう。

また、友人が傷付けられたりした時には烈火の如く怒る。
以前は人間に限らず、魔術師ともなるべく仲良くしようとしていたが、最近は距離を置いているようだ。

なるべく争いはしたくない、出来ることなら平和に過ごしたいとは思っているようだが、自分の大切なものを守る為なら、躊躇なく武器を取る。

【魔導兵装名】
Venom Royer『V-Fire』
【シリーズ】
SERIES:Relic
【外観】
古臭い鉄色のジッポライターのような外観。炎が黒い事が特徴で、煙草に火を点ける際にも使用しているが、非常に点きが悪い。
【トリガー】
苦痛を傷に焚き付けて 黒に燃えるは反撃の狼煙
魔の中にこそ我は在り 死の中にこそ汝在り
我が讐炎を以て 仇なす者に終焉を
【魔導】
彼の魔導は黒い炎。精神と肉体を焼き尽くす呪われた炎だ。

発動条件はトリガーを唱えること、そして自分が傷を負っている状態で、V-Fireを用い己の傷口に火を点ける事。

この炎は、「魔力」を燃料として燃える特性を持つ。その為、結界内部で使用した場合はその火力が遥かに増す。

しかしライターで直接火を点けることは出来ないようで、最初にライターで火を点ける事が出来るのは、己の傷口、そして流れ出た己の血液のみ。それが周りに触れる事によって、燃料となる魔力がある場合どんどんと引火していってしまう。

所持者の体には一切の炎の影響が無いが、この炎に焼かれた対象は極普通の炎に焼かれているのと同程度の火傷を負い、更に非常に強力な精神的苦痛に囚われる事となる。

その内容は様々で、過去のトラウマが存在すればそれを抉り出す様な記憶が脳裏を埋め尽くす、大切な人が居れば、その大切な人に捨てられる幻覚が見える、など相手によって変わるようだ。

魔力を燃料とする、という特性から、結界内では彼が魔導の使用を停止するまでほぼ無際限に燃え広がる為、周囲の魔導士にも引火する可能性がある。また、魔導兵装にも引火する事が分かっており、注意が必要。

また己の傷口に炎を点火させた場合、ジェット噴射の要領で急な方向転換、加速、空中の移動も出来るようだが制御が難しいという欠点を持つ。

消化には普通の炎と同じく水は効果的であるが、普通の炎よりは消えにくい。魔力で燃えている為、酸素の供給を止めても消えることは無い。
だが、弱点とされるのが光、聖属性の魔術であり、消化にはこれらを用いると瞬く間に消えていく。
【対価】
不明。彼本人にも分かっておらず、恐らくランダムである。使用している間、彼の〝何か〟を燃料として燃やしているが、それが何なのかは分からない。
【備考】
本部より、魔導士としての自覚を持って真面目に仕事をしなければ呼び戻す、と言われているらしい。


【SV】
『缶コーヒー。余計に買っちまったから、お前も飲むか?』

『酒かぁ⋯⋯。悪い!今夜はちょっと仕事が有るからさ。それ終わらしたら、また顔出すわ。』

『馬鹿やな、俺達、友達だろ?困った事あったら、助け合うもんよ。』

『⋯⋯あー、あのさ、出来れば、戦いたくないんやけど。それでもやるってんなら、相手はするぞ?』

『へっ、ちょっと心変わりがあったんやよ。今は少し真面目に仕事しんといかんの。』







「⋯⋯それは、な。⋯⋯幸せにしたい人がいるんだよ。心配かけたくない人がいるんだ。だから、今のままじゃいけないなってさ、思った。⋯⋯って感じだな。」


「───内緒だぞ?」

AR・CA・NA本部 フロアB3盗聴器より。



機関員α: 実験は成功したのか?

機関員β: いや、まだ完全な成功はしていない。アプローチは続けているんだが。

機関員α: 隔離施設を見せてもらっていいか?

機関員β: ああ。

(乾いた二人の足音。)

(セキュリティロックの解除音と、自動ドアが開く際のエアー漏れの音。)

機関員α: (溜息) ⋯圧巻だな。

機関員β: まあな、掃除が大変だ。汚いモノが沢山出てくるから。

(二人の吹き出すような小さな笑い声。)

機関員α: それにしても、以前はもっと沢山居たようだが、大分数が減ったんじゃないか?

機関員β: そうだな、中々上手く行かなくて、手探りだったから、どんどんと数が減っていっちまった。

(暫くの間無言。ノイズだけが聞こえる。)



(大きな警報音。)



機関員β: (焦りを孕んだ声。) ⋯⋯ッ!クソ⋯⋯っ、制御装置は⋯⋯!?

機関員α: おいっ!!

(何かの千切れる音、何かを叩くような音。)

機関員β: また失敗か!完全に暴走してやがる!!

機関員α: このままじゃ⋯⋯⋯⋯██ (ノイズが混じって不明瞭。)

機関員β: 分かってる、惜しいが████ (ノイズが混じって不明瞭、キーボードのタイピング音。)






(電子音、少女の様な高さの苦しげな絶叫。)




(音声はここで途切れている。)

新魔導歴五○一年  十二月度報告。


AR・CA・NA本部より各支部に通達。


各地機関員、及び本部魔導士「トーカ・ルキラチス」、「ネメシス・ヴェンデッタ」がそれぞれ率いる結界調査隊の報告によると、魔術師の行動の著しい活性化が散見される。


先月の第Ⅸ地区襲撃の情報が各地の魔術師に伝わったのか、繋がりは未だ掴めていないが、可能性が非常に高いと推測されている。


また、中でも第Ⅲ地区周辺での魔術師の活性化が顕著であるとの報告が入っている。新規の遺跡〝アルタミラ〟調査の情報が渡っている可能性も存在する。


更には本部魔導士トーカ・ルキラチスの報告に「第Ⅲ地区周辺の結界から魔術師が地区内に侵入した」とあり、当該魔術師の殺害には成功しているものの、これを鑑みて第Ⅲ地区の防衛レベルを一段階上げるものとする。


こちらからは先月配属させた「エーカ・デュナミス」に続く他本部魔導士の配属に先駆け、第Ⅲ地区に新規の本部魔導士、「ミスミ・リア・グリフィス」を配属させる事が決定している。


現在、第Ⅲ支部に向かわせている為、受け入れの準備を。






AR・CA・NA

【名前】Mithmi・Ria・Griffith(ミスミ・リア・グリフィス)
【性別】男性
【年齢】26歳
【ナンバーコード】RAINY
【役職】本部魔導士
【容姿】
細い体つきで身長は170cm。肌の色は白に近く血色が悪い。中々整った顔立ちをしているが、姿勢がいつも俯きがちの為見えにくい。猫背。
艶々とした黒髪に、赤色のインナーカラー。髪型はアシンメトリーで、片側だけ長い。長いアホ毛がある。タレ目で、くすんだ水色と緑色のオッドアイとなっている。ハイライトは無し。目元にホクロあり。片耳が何故か欠けている。
服装は保温性の高いものを好む。肌の露出は顔以外一切無い。黒と赤を基調としたフード付きのジャケットコート、タートルネックのトップス、厚めながらも伸縮性のある黒ジーンズとスニーカー。服の所々に、×や△、矢印などの模様が散りばめられている。スニーカーにはベルトがあるのだが、片方だけベルトではなく紐が結ばれている。


【性格】
生真面目で勤勉、そして、かなり内気でコミュ障な青年。話し方からして少し暗く、ゆっくりと小声で話し、所々言葉を詰まらせる。話すのは下手だが声質が声優レベルですごく良い。上手く話せないから人と対話するのが苦手なだけ、人間が苦手なわけでは無い。出来れば皆と仲良くなりたいと密かに考えている。
甘味が好物。飴とキャラメル、チョコレートが好き。ガムだけは何故か絶対に口にしない。
かなりの几帳面で、自分のモノをとても大切にする。時計、服、消しゴム、お菓子の袋…どんなに小さなモノでも、消耗品だとしても、それが自分のモノであれば一つ一つに名前を書く。いつでも名前を記す事が出来るようにペンはいつも持ち歩き、自分用の名前シールも所持している。特に自身の魔導兵装である傘は大切なモノ、肌身離さず持っている。
しかし、モノを大切にする割にはモノをよく失くしてしまう。何かしらモノを失くしては、慌てた様子で探し回る姿が頻繁に見られている。


【魔導兵装名】
Venom Royer『V-Rain』
【シリーズ】
SERIES:Relic
【外観】
外観には何の変哲も無い、只の傘。赤い傘地、白い中棒と骨組み。黒色の手元には、×印が描かれている。見た目、手触りからは想像できないほどの強度を誇り、盾として使うことも可能。
【トリガー】
『祈りを捧げば雲が満ち  来たりし雨に喜びを  轟雷、鬼の怒りの如く  仇なす者に狂乱を。』
【魔導】
傘を開き、トリガーを唱えることで発動する。
トリガーを唱えてから数秒経ったのち、周囲に霧と雨が発生する。範囲は半径500m程。
また、雨を雪に変えることと、半径50m内であれば雷をほぼ任意の場所に落とすことができる。
魔導の範囲内では魔力が狂い、暴走する。
周囲に満ちた魔力はもちろん、魔物や魔術師の体内にある魔力、更には魔導士の使う魔導ですら狂わせてしまう。その為扱いにはかなりの注意が必要。
尚、傘やレインコート、その他耐水性のあるもの…一般的に“雨具”に分類されるモノを身につけている場合、この魔導の効果を一切受けなくなる。原因は不明。
【対価】
使用者の体温。
10分の使用で0.05度ずつ、体温が奪われてゆく。
魔導を切れば、失われた体温はゆっくりと戻っていく。しかし使用時間が長引くほど回復速度は遅くなり、使用を重ねる毎に回復する体温の量も減っていく。
対価によりミスミの体温はいつも低め。その為防寒性の高い服を好み、肌の露出が少なくなっている。

【備考】
本部から派遣された魔導士。気弱な反面、実力は高い。魔導が敵味方関係なく広範囲に影響を及ぼす代物の為、共闘などには向かず、結界内の職務は何時も一人で行っている。
本部への派遣メンバーに選ばれた理由は魔導の範囲の広さやそこそこ優秀な成績など…色々とあるが詳細は隠されている。……本部にて、何かしら事案を起こしたという噂もあるのだが、詳しくは不明。

【3L対応】
「何方、でも構いません、よ……私の、モノに…なってくださるの、なら、何方でも。」

【SV】
「…本部から、来ました。ミスミ…と、もうします……よろしく、お願いします…ね。」

「あ。その…私、は……えっと………何でも、ない…です、ごめんなさい…。」

「…ぁ、あの。ここ、で…鉛筆、見ませんでした、か?…私の、モノで。な、失くして…しまいまして…みつけ、たら、教えて下さると、嬉しい…です。」

「この、傘は…大切なもの、なのです。私、の…居場所、ですから…失くしたら…大変……。」

「わ、私の魔導…ちょっと、危ない、ので。…えっと、離れた方が、いい…です、ごめんなさい…。」




「……それは、私のモノですよ、名前も書いてありますよ、なんで、なんでなんでアナタが持っているんですか。ねぇ、なんでですか。まさか、奪うつもり、なのですか。」

お疲れ様です。

本部機関員のシンシアです。夜分遅くに失礼します。

遅れましたが、ナンバーコード「VENOM」、「RAINY」両名に続く本部魔導士5名の配属の目処がつきました。

「THE ONE」「CONTRAINDICATION」「DOPE」「MYSTERY」「LAUREL」です。

其方に現在向かわせていますが、到着日時は未定なので、到着次第受け入れの準備をお願いします。

また、本部より警告が2点あります。


・魔術師への行き過ぎた気遣い、及び必要以上の干渉はなるべく慎むように。
一部の魔導士が相手を魔術師と知った上で交流しているという情報が入って来ています。例え我々人類に対する害が無くても基本は見つけ次第捕獲、もしくは殺害が基本です。


・ヒストリア帝国皇帝家の子孫であるクロエ皇女が第Ⅲ地区に滞在する模様です。粗相のないようにお願い致します。

【名前】
クロエ・フローラル・ルエ=ヒストリア(Chloe・Floral・Rue=Historia)

【容姿】
夕陽のようなオレンジ色のロングヘアー、空のような水色の瞳。
年齢の割に幼い顔付きで、どちらかと言うと小柄。
身長は159cm。水色のピシッとした服装でいる事が多い。
腰には儀礼用のレイピアを帯剣している。

【年齢】
16歳

【性格】
ある日第Ⅲ支部に突如訪れた少女。その正体はかのヒストリア帝国皇帝家の子孫。出身はかつてのヒストリア帝国帝都が存在した街、第Ⅱ地区〝バルカハイネン〟。

帝国が滅びた現在こそ皇帝制度は廃止されているものの、その美しい容姿と佇まい、そして優しさは多くの人々に広まっている。
更には民衆の他、魔術師や魔物によって脅かされる現状から、〝かつての強かった帝国に戻る〟という指標を掲げる「帝政復古派」と呼ばれる集団にも持ち上げられている。

クロエは名前、ヒストリアは家名であり皇帝家を表すもの。そしてルエは、正当な帝国皇帝本家の出である事を示す。なお、分家の出身者にはLse(ルス)が当てられる。

フローラルは出生時に付けられる所謂愛称のようなもので、皇帝家に古より続く伝統。彼女の場合は〝花のような〟という意味を込められて付けられた。

若くして頭脳明晰、そして品行方正、文武両道、容姿端麗と三拍子揃った女性で、とても人気のある人物。
更には、まだ幼い頃に魔導機関AR・CA・NAと魔導士の重要性に目を付け、いち早く支持するなど、天性の才能とも言うべき鋭い先見性も持ち合わせている。

力を失った元権力者である皇帝家の人間としては非常に珍しく、第一にヒストリアの未来を考える事の出来る人間でもある。

AR・CA・NA本部に出入りする姿もよく見られるようだ。

【SV】「お初にお目に掛かります、わたし、クロエ・フローラル・ルエ=ヒストリアと申しますわ。⋯⋯うふふ、長くて呼びにくいでしょう?単に〝クロエ〟で構いませんよ。」

「そんなに畏まらないでも。帝国があったのは遥か昔のお話ですし、わたしはただの一般市民です。⋯⋯寧ろ、貴方達魔導士に支えられて、助けられて、わたしは貴方に何度頭を下げても足りませんよ?」

「───誰もが手を繋いで、笑い合えるような、そんな世界になって欲しいです。⋯⋯えへへ、夢物語ですよね。⋯⋯今のわたしには、世界を変える力なんてありませんもの⋯⋯。」

新魔導歴五○二年  一月度報告。


AR・CA・NA本部より各支部に通達。


第Ⅲ支部南西の方角に存在する遺跡、学術都市アルタミラの調査が終了。

負傷者は多数出たものの奇跡的に死者は出ておらず、今作戦は戦術的・戦略的共に成功と言えるでしょう。

多くの魔導兵装が発見された為、第Ⅱ、第Ⅲ、第Ⅴ、第Ⅸ支部に新規の魔導士を配備予定。異動する魔導士には個別で連絡を行う。


また、アルタミラで存在が確認されていたSSランク魔術師『ヤマト・ディストロイア』は、第Ⅲ支部配属の本部魔導士、ナンバーコード『DOPE』との戦闘で死亡を確認。


その他、後日、第Ⅲ支部配属本部魔導士、ナンバーコード『VENOM』を本部に帰還させる予定あり。

本部からは実験的に魔導士を一人、第Ⅲ支部へ派遣。特務、標準、試験といった魔導士階級には縛られない存在である為、接し方は自由とする。






第Ⅲ支部所属魔導士に本部一同より感謝を。



AR・CA・NA

「僕は、あなたの様に強い人間になりたい。そして⋯⋯いつか夢を見つけて、自分の力でその夢を叶えてみたい。」

【名前】
ユーリ(Yuli)
【性別】

【年齢】
18歳
【役職】
魔導士
【容姿】サラリとした黒髪で、後ろが長く、紫色の布で纏めている。ルビーの様な赤色の瞳。肌の色は健康的な色。
服は茶色のTシャツに黒い長ズボンと至って特徴のないものだが、何やら軍服のような物も所持している。
手には黒いグローブを着けている。身長は175cmと平均的で、体格は中肉程度だが引き締まっている。
胸には巨大な傷跡があるようだ。
【人物像】本部より第Ⅲ支部に突然派遣された魔導士。
しかし彼に関する情報は謎が多く、名前や年齢、性別の他、

・実験的な魔導士であり、試験的な配属であること

しか通達されておらず、その内容を知るのは本部機関員の上層部他、一部のみ。

本部から派遣されてきたとはいえ、どうやら本部・標準・試験といった魔導士の立ち位置に縛られない存在であるようで、各魔導士は自由に接して貰って構わないらしい。

性格は極めて温厚で、争いを好まないタイプである。
ついでにお節介で、困っている人を見掛けると放っておけないお人よし。それ故によく厄介事に巻き込まれがち。
色々な経験が薄いらしく、初心な上、娯楽などの知識は殆ど皆無。
絶望的に不器用でもあるようで、何かをしようとしては失敗する姿もよく見られる。まともに出来るのは運動程度。

初対面の人には基本的に敬語で話すよう心掛けてはいるが、年齢が自分と同じくらい、もしくは下であろう容姿の人物には敬語を外して話し掛ける事が多く、どうやら自分より小さな子の世話をしたり、面倒を見たりするのが好きらしい。

好奇心旺盛で、本を読むことも好き。彼曰く、「僕は知らない事が多いから、調べたり、話を聞いたりするのが好きなんだ。」というのが理由らしい。
何故か魔導士として必須の知識だけはしっかりある。

第Ⅲ支部に配属されるまでの記憶がはっきりせず、朧気なのが悩みらしく、何かの拍子に思い出そうとすると頭痛がするらしい。そのせいで変な夢を見ることもあるようだ。

性格にそぐわず身体能力は高いようで、なんと徒手空拳スタイルの戦法を取るが、戦闘に関しては、「好きじゃないし、出来ることならやりたくないかな。」とのこと。
痛いのも嫌だし、誰かが苦しむのも見るのは嫌、と年齢相応の弱い一面があるようだが、臆病ではない。戦わねばならない時が来れば戦うだろう。
しかし基本的に甘く、よっぽどの事が無ければ、まずは状況判断力と軽やかなステップを駆使した回避で避けつつ、戦わずに済む道を模索しがち。

どうやらマイブームはお菓子作りらしいが、その腕は⋯⋯と聞かれると首を横に振ることしか出来ない。

【魔導兵装名】
不明
【シリーズ】
不明
【外観】
彼曰く「体の中にある」らしい。
【トリガー】
不明
【魔導】
不明
【対価】
不明
【備考】
魔導兵装はあまり使いたがらない。

【SV】
「君、何か、困り事?僕で良ければ手伝うよ。」

「僕に任せて⋯⋯って!と、特務魔導士だったんですか⋯!ごめんなさい、見た目が幼かったので、つい⋯!」

「魔術師と、魔物を倒す。それが僕たち魔導士の役目、だよね。⋯⋯うん、分かってるよ。⋯そうだね、確かに怖いけど、それが仕事なら、やるよ。⋯⋯だから、大丈夫。」



「うん、子供は好きだよ。昔は小さい子供とよく遊んだり⋯⋯⋯⋯う”っ⋯⋯、⋯⋯うん、大丈夫、ごめんね。」










『⋯⋯(なんで、僕は笑ってるんだろう。嫌な筈なのに。⋯⋯なんで、楽しんでるの?)』







『⋯⋯   ふ⋯ふふっ、は、ははは⋯⋯!!!!』

女: ⋯⋯あら、こんなところに。
 
(軽やかな足音が反響。)

(一定のリズムで水滴が落ちる音が聞こえ続ける。) 

女: ⋯まだ、それ程時間は立っていないようですが。⋯⋯ん、重い⋯、です、ね⋯⋯っ。

(何かがゆっくりと擦れる音。)

(空洞音。)

女: ⋯⋯はあ、全く、どんな体をしているんだか。⋯⋯⋯でも、僥倖ですね。素体としても十分でしょうし。

(何がが潰れるような音。)

(柔らかい物体に何かが沈み込むような音。)

(僅かに女の苦悶の声が聞こえる。)

女: ⋯⋯っ、やっぱり、ありましたね。クレイドル計画も最終段階ですし、当初の予定とは違いますが、〝これ〟で試してみる価値はあるでしょう。

(何かが引き抜かれる音。)

(足音が反響し、小さくなっていく。)

(静かな風の音。)