ライブラリ
魔導士たちのお話。
月鳴さん (7biw6o6c)2019/11/26 22:16 (No.30436)削除
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菓
菓子丸さん (7bep69l3)2019/11/22 13:22 (No.30070)削除相棒(神風 零)とフール・5・Qのお話
【王冠を授かった愚者】
張りつめられた緊張の糸。乱れなく並ぶ同じ制服の少年少女。身につけるは学生が持つ筆記道具ではなく、魔術師や魔物を殺す為の兵器。最終試験は文字通り生きるか死ぬかの実戦……つまり、七日間生き延びること。教官が怒涛の説明をする中、隣にいる零は馬鹿みたいにあくびをしているものだから、思いっきり足を踏みつける。いてぇじゃんと視線で訴えてくるが、いつもこと。
ぼくがかれが暴走しないようにコントロールする代わりに、かれは戦えないぼくの代わりに戦う。何年経っても変わらなかなかったが、卒業をすれば互いに違う部署にいくのだろう。零は優れた戦闘能力を評価される本部から推薦状がきたと聞いた。対して自分は戦えないくせに、まともに魔導兵装すら使いこなせない落ちこぼれ。唯一あるとすれば類い稀なる支援特化というだけだろう。
ぼくは何故、零が自分を相棒として選んだのかさえ知らずに卒業する運命なんだとだけは理解していた。
最終日、相棒はずっと魔導兵装《ZERO ΦGHTER》と一緒に空を飛び続ける。極限までに精神を削られた僕らを嘲笑うかのように透き通った雲一つない青空を、真っ白なボディーに青くΦが描かれた戦闘機は飛んでいく。かれには恥ずかしくて言っていなかったが、ぼくは自由気まま飛んでいくかれらを見守ることが大好きだ。何事もなく、飛んでいく鳥にぼくもなりたかった。そんなぼくを嘲笑うように玉乗りをする道化師は笑うだけ。深いため息をつくと、緊急の連絡が響き渡る。
『おいおい、なんでSSランクの魔物が海にいやがるんだ?他の奴ら食われてやがる』
その声に慌てて視線を海側へと向けると、全てを飲み込まんと巨大な水の塊を纏った魔物が同志を飲み込んでいく。悲痛な悲鳴さえ掻き消していく。
『先生を呼んだほうがいいよ!こんなのぼくらじゃ対処できない!』
『ばっかやろう!あの魔物が出ていること自体馬鹿教師共は気づいてやがる!!アイツらは俺様達がどう対処するか高みの見物してやがるんだ!ファッッキュ!!!くそったれが!……おい、フールテメェ確かどんな武器でもレリックにできるんだよな』
『できるよ。……まさか、きみ賭ける気なのかい?ぼくの武器はランダムだって知ってるだろ。引ける訳がない』
『んなわけねぇ!俺様が選んだ《相棒》だぜ?野垂れ死する運命なんか引くわけがねぇっての!hahaha!』
明るくいうかれ。運命なんてぼくは信じていない。引けるわけないのに、あなたは仲間想いだからどんどんと魔物に近づいていく。あぁ、馬鹿だ。ぼくらは馬鹿だ。尻尾巻いて逃げたら生きられること知っている。きみは生きて帰る気がないことも、何もかも分かっている。何度引いても愚者はこない。左目が見えなくなって、零も引き返せなくなった途端にくるオマエはやっぱり笑っていた。
『……テメェに王冠を授けてやったぜ。haha!最後まで最悪でサイコーの空日和ってかぁぁぁぁ?いってくるぜ!!!!【lock-on Zero Zero 《Brave Death》】』
初めて聞いたあなたのトリガー。キノコ雲が浮かんでる。周りのみんな、生還して喜んでいたよ。ねぇ、聴こえているだろ。ぼくにとってきみは世界だったんだ。きみは王様だった。勇者だった。そして、命を投げ出した愚者だった。届かない祈りは海に溶けちゃったよ。きみは変わらず空を飛び続けるのかな。
その日からWORLD IS FOOLが王冠を被り玉乗りをする道化師へと変わった。
【王冠を授かった愚者】
張りつめられた緊張の糸。乱れなく並ぶ同じ制服の少年少女。身につけるは学生が持つ筆記道具ではなく、魔術師や魔物を殺す為の兵器。最終試験は文字通り生きるか死ぬかの実戦……つまり、七日間生き延びること。教官が怒涛の説明をする中、隣にいる零は馬鹿みたいにあくびをしているものだから、思いっきり足を踏みつける。いてぇじゃんと視線で訴えてくるが、いつもこと。
ぼくがかれが暴走しないようにコントロールする代わりに、かれは戦えないぼくの代わりに戦う。何年経っても変わらなかなかったが、卒業をすれば互いに違う部署にいくのだろう。零は優れた戦闘能力を評価される本部から推薦状がきたと聞いた。対して自分は戦えないくせに、まともに魔導兵装すら使いこなせない落ちこぼれ。唯一あるとすれば類い稀なる支援特化というだけだろう。
ぼくは何故、零が自分を相棒として選んだのかさえ知らずに卒業する運命なんだとだけは理解していた。
最終日、相棒はずっと魔導兵装《ZERO ΦGHTER》と一緒に空を飛び続ける。極限までに精神を削られた僕らを嘲笑うかのように透き通った雲一つない青空を、真っ白なボディーに青くΦが描かれた戦闘機は飛んでいく。かれには恥ずかしくて言っていなかったが、ぼくは自由気まま飛んでいくかれらを見守ることが大好きだ。何事もなく、飛んでいく鳥にぼくもなりたかった。そんなぼくを嘲笑うように玉乗りをする道化師は笑うだけ。深いため息をつくと、緊急の連絡が響き渡る。
『おいおい、なんでSSランクの魔物が海にいやがるんだ?他の奴ら食われてやがる』
その声に慌てて視線を海側へと向けると、全てを飲み込まんと巨大な水の塊を纏った魔物が同志を飲み込んでいく。悲痛な悲鳴さえ掻き消していく。
『先生を呼んだほうがいいよ!こんなのぼくらじゃ対処できない!』
『ばっかやろう!あの魔物が出ていること自体馬鹿教師共は気づいてやがる!!アイツらは俺様達がどう対処するか高みの見物してやがるんだ!ファッッキュ!!!くそったれが!……おい、フールテメェ確かどんな武器でもレリックにできるんだよな』
『できるよ。……まさか、きみ賭ける気なのかい?ぼくの武器はランダムだって知ってるだろ。引ける訳がない』
『んなわけねぇ!俺様が選んだ《相棒》だぜ?野垂れ死する運命なんか引くわけがねぇっての!hahaha!』
明るくいうかれ。運命なんてぼくは信じていない。引けるわけないのに、あなたは仲間想いだからどんどんと魔物に近づいていく。あぁ、馬鹿だ。ぼくらは馬鹿だ。尻尾巻いて逃げたら生きられること知っている。きみは生きて帰る気がないことも、何もかも分かっている。何度引いても愚者はこない。左目が見えなくなって、零も引き返せなくなった途端にくるオマエはやっぱり笑っていた。
『……テメェに王冠を授けてやったぜ。haha!最後まで最悪でサイコーの空日和ってかぁぁぁぁ?いってくるぜ!!!!【lock-on Zero Zero 《Brave Death》】』
初めて聞いたあなたのトリガー。キノコ雲が浮かんでる。周りのみんな、生還して喜んでいたよ。ねぇ、聴こえているだろ。ぼくにとってきみは世界だったんだ。きみは王様だった。勇者だった。そして、命を投げ出した愚者だった。届かない祈りは海に溶けちゃったよ。きみは変わらず空を飛び続けるのかな。
その日からWORLD IS FOOLが王冠を被り玉乗りをする道化師へと変わった。
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月鳴さん (7biw6o6c)2019/11/22 11:23 (No.30067)削除
1-2ページ
3-4ページ
勝手にゼファーさんと花蓮が付き合う話を書きました!いい夫婦の日なので!!
ページ設定ありきの文を書いてしまったので画像形式での投稿です。
ページ設定ありきの文を書いてしまったので画像形式での投稿です。


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月鳴さん (7biw6o6c)2019/11/19 21:12 (No.29892)削除
下のゼファーさんが疲れたうえで花蓮に惹かれた話こと『いい夢を』の続きみたいなものです。
もし花蓮が色んな事に気付いてしまった場合。心中します。「温かい話」です。
https://privatter.net/p/5196635
もし花蓮が色んな事に気付いてしまった場合。心中します。「温かい話」です。
https://privatter.net/p/5196635
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月鳴さん (7biw6o6c)2019/11/17 15:17 (No.29715)削除
ゼファーさんがもしあまりにも疲れていて、かつ花蓮に惹かれてしまった場合のif掌編です。3000文字強程度。
若干シローさんに対して申し訳ないやつ……。
https://privatter.net/p/5194678
若干シローさんに対して申し訳ないやつ……。
https://privatter.net/p/5194678
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月鳴さん (7biw6o6c)2019/11/17 00:54 (No.29549)削除
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月鳴さん (7biw6o6c)2019/11/16 17:34 (No.29496)削除
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う
うどんさん (7beedzhs)2019/11/16 12:05 (No.29459)削除ある戦いの話。
お前はこの世のさまざまな苦しみから身をひくことができる。それはお前の自由に委ねられているし、お前の性分次第である。けれどもまさにこの「身を引くこと」こそ、ひょっとするとお前の避けることのできる唯一の苦しみであるかもしれない。
そんなことを何処かの誰かが言っていたことを覚えている。
つまり、あれだろう、今みたいな状態で逃げて故郷すべて奪われるぐらいならここで戦って少しでも守れって話だろう。
格好いいこと言うよな、昔の人は。きっとすげーかっこいい将軍の言葉なんだろうな。ほら、守りの名将とかそういう感じの。
今がまさにそれだな、失わないための戦い。失うことから足掻く戦い。
これは、その一欠片。
俺は家族から馬鹿だと言われた。友達も馬鹿だと言われた。子供からも馬鹿だと言われたし嫁にも馬鹿だと言われた。相手の家族からはぶん殴られた。
格好つけてやろう。俺は家族を、全てを守りたいイカした男の一人だ。
今もそうだと思っているから俺は軍隊に入隊した。
ヒストリア連邦対魔術師軍。今まで勝ったことのない軍隊、あるいは無駄死にの軍隊。または我らが穀潰し。
それでも俺は軍隊に入隊した。それも魔導機関が発足した現在にだ。馬鹿だろうか。あえて言おう。俺も馬鹿だと思う。
俺には才能がなかった。家族を守りたかったが魔導士にはなれないのだと言われた。
だから俺は軍隊に入隊した。何度でも言おう。大馬鹿だ。
くどくどした前置きは飽きたかね、読者諸君。ああ、俺だって基本は好かん。だからそろそろ前置きはやめて諸君を戦場へつれていってやろう。
知ってるか、昔はテーマパークっていう遊び場があってそこに行けば夢の国につれてってくれたんだ。
さぞ退屈だったんだろうな。
戦場ってのは危ないし臭いし煩いし控えめにいって最悪だ。
辺りから硝煙と血の臭いと男の汗の臭い、人の焼ける臭いもまたひどいものでまさに嫌な臭いのオンパレード。音もヤバイな、銃撃音に砲撃音に、空からはヘリのローター音、男どもが頭悪く叫ぶ、痛みに悲鳴をあげる。すすり泣く声も混ざるとそれはそれでまた気分が悪くなる。
それでもここは待ち望んだ戦場だ。
敵数は10人ほど。こちらは一帯の兵力300に重火器やらある上に続々結集してる。如何に奴等が強かろうと勝てると思ってた。思ってたんだ。
まず砲撃支援、敵に直撃。地面が吹き飛んで遠く離れたこちらまで飛んできた。次に上空からのナパーム。火が凄いんだ。高く空まで到達するかと思うほどの火、更にそこから二度目の砲撃支援、もうなにも残ってないだろうなと皆思ってた。
だから火が消えたら皆で死体を探しに接近したんだ。それが間違えだった。
俺たちより前の奴が吹き飛んだ。いや、消えた。消滅した。跡形もなくな。前方には十人の敵勢力、一人とも欠けずにそこにいた。魔力防壁と言われるそれは全ての攻撃を遮断していた。
撤退の声が響き俺たちは一斉に逃げ出した。隊列もなく必死こいて逃げた。背中に衝撃が来てそれが仲間の血肉だとわかったのは待機してた塹壕に伏せてからだった。
奴等は平然な顔で反撃を開始した。攻撃されながらもそれを無視しヘリがなんだかよくわからないビームで撃ち落とされ、戦車をどろどろに溶かされた。
恐れ、恐怖のあまり姿をさらけ出した者から殺されていった。降伏しようとしたものも殺された。なにもしてなくても殺された。
俺は奇跡的に生きていて膝を震わせながら隠れていた。
ラッパが響いた。俺はそれを聞いたことがあった。何年前かの演習で聞いたそれは確か第Ⅷ地区防衛魔導士団の部隊がやっていた、戦禍への進撃。隣で声がする。
「希望は左手より零れ落ちた。
救いは右手よりすり抜けた。
歩む道は潰え
歩む足は砕けた。
貴女さえ喪い
されど体が残る。
ならば進撃未だ止めず
足引き摺り進むと貴女と決めた。
許されざる我身に今一度終わることなき呪いを。
マリー、愛しき人よ」
そして敵の殆どが消えた。今度は敵が震える番だった。
「簡潔に話そう。残る一人が我々だけでは倒せない。陽動し正面を取り注意を引き付けるからこの場でもっとも弱い君が倒せ。」
紫色の短剣が渡された。揺らめくそれ、おぼろげなそれ。 だがそれは不思議と俺に戦う意思を与えた。隣にたつ早老の男は他の者と突撃を開始している。こちらを信じたのではないのだろう。他に術がないからやったのだ。決断は速くこれが決まるかどうかは俺にかかっていた。
そこからは夢のような時間だった。俺は立ち上がり走り始めた。前方では魔術師と魔導士が交戦している。古き良き剣で、戦士を昂らせるラッパで、いつのだ、それはといいたくなるようなマスケット銃で。
馬鹿みたいだと思う俺は他でもない短剣で。
夢じゃなければどんなにいいだろうかと考えた。こんな糞みたいな世界で、こんな救い様のない世界で、俺は誰よりも必要とされていた。
短剣が魔術師の腹部に突き刺さる。魔術師がこちらを見る。夢であってくれ、みたいな顔してんなよ、と俺は笑う。
こちとらどうか現実であってくれと願ってるんだ。
デブリーフィング、と言うかただの表彰式が一ヶ月後行われた。ヒストリア連邦史上初めて魔術師を殺した凡人を記念したものだそうだ。
この頃俺はやはり夢見心地だった。家族が笑う、嫁が褒め称えてくれる。義兄が嬉しそうにスーツ姿で俺の肩を叩く。
目の前には満面の笑みの連邦大統領、こちらもまた俺の肩を叩く。嬉しくて敬礼しようとしてその腕がないことに気がつく。おどおどすんなよ大統領。もっとちゃんとしろ。
俺が笑えば周りも笑ってみせた。軍服に渋い勲章が付く。敬礼。
そういえば、魔導士は対価を捧げることによって魔術師を殺すらしい。
ならば俺はこの腕を対価に家族を、故郷を救った。
後悔はあるか、か。はっきりいって無い。が、出来ればやり直したいな。
右腕がなくちゃ妻を抱きしめてキスするのが一苦労なんだ。
お前はこの世のさまざまな苦しみから身をひくことができる。それはお前の自由に委ねられているし、お前の性分次第である。けれどもまさにこの「身を引くこと」こそ、ひょっとするとお前の避けることのできる唯一の苦しみであるかもしれない。
そんなことを何処かの誰かが言っていたことを覚えている。
つまり、あれだろう、今みたいな状態で逃げて故郷すべて奪われるぐらいならここで戦って少しでも守れって話だろう。
格好いいこと言うよな、昔の人は。きっとすげーかっこいい将軍の言葉なんだろうな。ほら、守りの名将とかそういう感じの。
今がまさにそれだな、失わないための戦い。失うことから足掻く戦い。
これは、その一欠片。
俺は家族から馬鹿だと言われた。友達も馬鹿だと言われた。子供からも馬鹿だと言われたし嫁にも馬鹿だと言われた。相手の家族からはぶん殴られた。
格好つけてやろう。俺は家族を、全てを守りたいイカした男の一人だ。
今もそうだと思っているから俺は軍隊に入隊した。
ヒストリア連邦対魔術師軍。今まで勝ったことのない軍隊、あるいは無駄死にの軍隊。または我らが穀潰し。
それでも俺は軍隊に入隊した。それも魔導機関が発足した現在にだ。馬鹿だろうか。あえて言おう。俺も馬鹿だと思う。
俺には才能がなかった。家族を守りたかったが魔導士にはなれないのだと言われた。
だから俺は軍隊に入隊した。何度でも言おう。大馬鹿だ。
くどくどした前置きは飽きたかね、読者諸君。ああ、俺だって基本は好かん。だからそろそろ前置きはやめて諸君を戦場へつれていってやろう。
知ってるか、昔はテーマパークっていう遊び場があってそこに行けば夢の国につれてってくれたんだ。
さぞ退屈だったんだろうな。
戦場ってのは危ないし臭いし煩いし控えめにいって最悪だ。
辺りから硝煙と血の臭いと男の汗の臭い、人の焼ける臭いもまたひどいものでまさに嫌な臭いのオンパレード。音もヤバイな、銃撃音に砲撃音に、空からはヘリのローター音、男どもが頭悪く叫ぶ、痛みに悲鳴をあげる。すすり泣く声も混ざるとそれはそれでまた気分が悪くなる。
それでもここは待ち望んだ戦場だ。
敵数は10人ほど。こちらは一帯の兵力300に重火器やらある上に続々結集してる。如何に奴等が強かろうと勝てると思ってた。思ってたんだ。
まず砲撃支援、敵に直撃。地面が吹き飛んで遠く離れたこちらまで飛んできた。次に上空からのナパーム。火が凄いんだ。高く空まで到達するかと思うほどの火、更にそこから二度目の砲撃支援、もうなにも残ってないだろうなと皆思ってた。
だから火が消えたら皆で死体を探しに接近したんだ。それが間違えだった。
俺たちより前の奴が吹き飛んだ。いや、消えた。消滅した。跡形もなくな。前方には十人の敵勢力、一人とも欠けずにそこにいた。魔力防壁と言われるそれは全ての攻撃を遮断していた。
撤退の声が響き俺たちは一斉に逃げ出した。隊列もなく必死こいて逃げた。背中に衝撃が来てそれが仲間の血肉だとわかったのは待機してた塹壕に伏せてからだった。
奴等は平然な顔で反撃を開始した。攻撃されながらもそれを無視しヘリがなんだかよくわからないビームで撃ち落とされ、戦車をどろどろに溶かされた。
恐れ、恐怖のあまり姿をさらけ出した者から殺されていった。降伏しようとしたものも殺された。なにもしてなくても殺された。
俺は奇跡的に生きていて膝を震わせながら隠れていた。
ラッパが響いた。俺はそれを聞いたことがあった。何年前かの演習で聞いたそれは確か第Ⅷ地区防衛魔導士団の部隊がやっていた、戦禍への進撃。隣で声がする。
「希望は左手より零れ落ちた。
救いは右手よりすり抜けた。
歩む道は潰え
歩む足は砕けた。
貴女さえ喪い
されど体が残る。
ならば進撃未だ止めず
足引き摺り進むと貴女と決めた。
許されざる我身に今一度終わることなき呪いを。
マリー、愛しき人よ」
そして敵の殆どが消えた。今度は敵が震える番だった。
「簡潔に話そう。残る一人が我々だけでは倒せない。陽動し正面を取り注意を引き付けるからこの場でもっとも弱い君が倒せ。」
紫色の短剣が渡された。揺らめくそれ、おぼろげなそれ。 だがそれは不思議と俺に戦う意思を与えた。隣にたつ早老の男は他の者と突撃を開始している。こちらを信じたのではないのだろう。他に術がないからやったのだ。決断は速くこれが決まるかどうかは俺にかかっていた。
そこからは夢のような時間だった。俺は立ち上がり走り始めた。前方では魔術師と魔導士が交戦している。古き良き剣で、戦士を昂らせるラッパで、いつのだ、それはといいたくなるようなマスケット銃で。
馬鹿みたいだと思う俺は他でもない短剣で。
夢じゃなければどんなにいいだろうかと考えた。こんな糞みたいな世界で、こんな救い様のない世界で、俺は誰よりも必要とされていた。
短剣が魔術師の腹部に突き刺さる。魔術師がこちらを見る。夢であってくれ、みたいな顔してんなよ、と俺は笑う。
こちとらどうか現実であってくれと願ってるんだ。
デブリーフィング、と言うかただの表彰式が一ヶ月後行われた。ヒストリア連邦史上初めて魔術師を殺した凡人を記念したものだそうだ。
この頃俺はやはり夢見心地だった。家族が笑う、嫁が褒め称えてくれる。義兄が嬉しそうにスーツ姿で俺の肩を叩く。
目の前には満面の笑みの連邦大統領、こちらもまた俺の肩を叩く。嬉しくて敬礼しようとしてその腕がないことに気がつく。おどおどすんなよ大統領。もっとちゃんとしろ。
俺が笑えば周りも笑ってみせた。軍服に渋い勲章が付く。敬礼。
そういえば、魔導士は対価を捧げることによって魔術師を殺すらしい。
ならば俺はこの腕を対価に家族を、故郷を救った。
後悔はあるか、か。はっきりいって無い。が、出来ればやり直したいな。
右腕がなくちゃ妻を抱きしめてキスするのが一苦労なんだ。
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緑
緑の人さん (7big8sjh)2019/11/16 11:48 (No.29453)削除(草野 三下を確保時に徴収した、彼が著作した魔導兵装のまとめ本。何度も書き直された跡があり、兵装の発掘方法と兵装の種類が上下巻に分かれて書かれている。……はっきり言って、個人1人で書ける分量ではなく、証言の中からも魔導兵装や魔術に対して異常な程の執着を見せているからこそ書けた分量であろう)
(重要:この本は彼の独学で指標を付けた本であることも留意されたし)
「猿でも分かる魔導兵装本・上」
上巻「魔導兵装のさがしかた」目次
魔導兵装の掘り方
・はじめに
・埋葬時
・納品時
・埋壁時
下巻「魔導兵装のみわけかた」目次
魔導兵装の識別
・識別方法
・各形態と予測される大幅な魔導の特徴
はじめに
・魔導兵装はこわれものです。大事に扱いましょう。また、壊れている場合はそれに関連する部品が転がっている場合があります。丁寧に探しましょう。
・100%非欠損は超強力。(恐らくRelicの事)
・7〜80%保持の上、残り“全て”のパーツが揃っている場合も強力。(恐らくRepair)
・5〜69%である程度パーツが揃っている、もしくは7〜80%内でもパーツが足りないものは使える。使えるが効果は完全に出力されない。(恐らくLost)
・それ以下はスクラップと認定。まあ持って帰るけども。予想して設計図を再現・組み直せば使えるかもしれない(実際、彼の拠点から徴収した中にはこれに該当するLostシリーズは発見されている)
埋葬時
必要なもの:小さなスコップ
・埋葬時は瓦礫をスライスするように、上から1つずつ取り除いていく。瓦礫なら放っても良いが、物品の場合は周囲を掘り出して確保するべき。日常的なものではなく、武器を始めとして色々な非日常的なものが発見された場合、それは恐らく兵装に該当される。
注意点はスコップ。傷つける事だけは出来るだけ避けないと使えるものも使えなくなる。
発見数◾️◾️◾️◾️個。(その後“はじめに”に書かれていた種類の割合が書かれている。ほとんどスクラップかロストだった)
納品時
必要なもの:工具や鍵開けツール
・所謂宝箱である。やったね!
・迷わず開けようとすると鍵が掛かっていたり暗号、あとはトラップなどが仕掛けられている場合も。失敗したら爆発して使い物にならなくなる(スクラップとして回収は可能)。
・鍵の場合は(様々な鍵の種類やそれに対する開け方が逐一丁寧に書かれている。流出時に民間に知れ渡らないように今回は検閲)
・暗号の場合は(我々が概知している以上に網羅された暗号表や解法がびっしりと書き込まれていた。南京錠のパターンを始めとし、果ては部屋の入り方が解法になっているものまで書かれていた。これも検閲)
・罠の場合は(罠一覧、及びそれの対処法。暗号の類もあったが、これらは暗号時と違いリスクが発生するものの様だったので分類されている。遺跡調査時の死亡例と照らし合わせた時にほぼ合致した事から信用性は高い。検閲)
発見数◾️個。うち失敗数◾️◾️個。(全体的に割合が低いが、出てきたものは1つ除いてrepair。また除いた1つはrelicだった。今後の遺跡調査時、箱がある部屋を発見した場合報告を義務付ける)
・壁埋型
必要なもの:槌と大釘。
・この模様(内容は検閲)を発見した際(各模様のパターンに応ずる兵装の位置が正確に記されている)の位置に兵装が埋まっている場合がある。
・大枠を作って叩いた後、兵装が見えた際に発掘作業を開始する。
・発掘時は外観から形を予測してなるべく傷つけないように掘れば自然に落ちてくるので、落下時に落とさない様にする注意も必要。
(その後も掘り方の細かなコツや使っていた道具の詳細が書かれている。化石発掘に近い)
発見数◾️◾️◾️個。(大体repairとlost)。
(重要:この本は彼の独学で指標を付けた本であることも留意されたし)
「猿でも分かる魔導兵装本・上」
上巻「魔導兵装のさがしかた」目次
魔導兵装の掘り方
・はじめに
・埋葬時
・納品時
・埋壁時
下巻「魔導兵装のみわけかた」目次
魔導兵装の識別
・識別方法
・各形態と予測される大幅な魔導の特徴
はじめに
・魔導兵装はこわれものです。大事に扱いましょう。また、壊れている場合はそれに関連する部品が転がっている場合があります。丁寧に探しましょう。
・100%非欠損は超強力。(恐らくRelicの事)
・7〜80%保持の上、残り“全て”のパーツが揃っている場合も強力。(恐らくRepair)
・5〜69%である程度パーツが揃っている、もしくは7〜80%内でもパーツが足りないものは使える。使えるが効果は完全に出力されない。(恐らくLost)
・それ以下はスクラップと認定。まあ持って帰るけども。予想して設計図を再現・組み直せば使えるかもしれない(実際、彼の拠点から徴収した中にはこれに該当するLostシリーズは発見されている)
埋葬時
必要なもの:小さなスコップ
・埋葬時は瓦礫をスライスするように、上から1つずつ取り除いていく。瓦礫なら放っても良いが、物品の場合は周囲を掘り出して確保するべき。日常的なものではなく、武器を始めとして色々な非日常的なものが発見された場合、それは恐らく兵装に該当される。
注意点はスコップ。傷つける事だけは出来るだけ避けないと使えるものも使えなくなる。
発見数◾️◾️◾️◾️個。(その後“はじめに”に書かれていた種類の割合が書かれている。ほとんどスクラップかロストだった)
納品時
必要なもの:工具や鍵開けツール
・所謂宝箱である。やったね!
・迷わず開けようとすると鍵が掛かっていたり暗号、あとはトラップなどが仕掛けられている場合も。失敗したら爆発して使い物にならなくなる(スクラップとして回収は可能)。
・鍵の場合は(様々な鍵の種類やそれに対する開け方が逐一丁寧に書かれている。流出時に民間に知れ渡らないように今回は検閲)
・暗号の場合は(我々が概知している以上に網羅された暗号表や解法がびっしりと書き込まれていた。南京錠のパターンを始めとし、果ては部屋の入り方が解法になっているものまで書かれていた。これも検閲)
・罠の場合は(罠一覧、及びそれの対処法。暗号の類もあったが、これらは暗号時と違いリスクが発生するものの様だったので分類されている。遺跡調査時の死亡例と照らし合わせた時にほぼ合致した事から信用性は高い。検閲)
発見数◾️個。うち失敗数◾️◾️個。(全体的に割合が低いが、出てきたものは1つ除いてrepair。また除いた1つはrelicだった。今後の遺跡調査時、箱がある部屋を発見した場合報告を義務付ける)
・壁埋型
必要なもの:槌と大釘。
・この模様(内容は検閲)を発見した際(各模様のパターンに応ずる兵装の位置が正確に記されている)の位置に兵装が埋まっている場合がある。
・大枠を作って叩いた後、兵装が見えた際に発掘作業を開始する。
・発掘時は外観から形を予測してなるべく傷つけないように掘れば自然に落ちてくるので、落下時に落とさない様にする注意も必要。
(その後も掘り方の細かなコツや使っていた道具の詳細が書かれている。化石発掘に近い)
発見数◾️◾️◾️個。(大体repairとlost)。
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月鳴さん (7biw6o6c)2019/11/16 11:20 (No.29445)削除
やる気0番隊のことスフマート小隊の隊長にしてサボり魔の猫屋さんを、0番隊のやる気枠()なペアの花蓮が探していくほのぼのストーリーです。1500文字強程度の掌編です。
https://privatter.net/p/5189107
https://privatter.net/p/5189107
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月鳴さん (7biw6o6c)2019/11/16 11:18 (No.29444)削除
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