ライブラリ

魔導士たちのお話。

アイコン設定
投稿者さん使い方

黒助さん (7c2y42x5)2020/1/13 21:19 (No.33310)削除
あぁ、救いが無く。救い様の無い――







「なぁなぁ■■■ー」

「どうしたの?■■」

「人って、死んだらどうなるんだろうな」

「いきなりどうしたのよ」

暖かな日差し落ちる、のどかで平和な平原。鮮やかな花々は微かな風で揺れ、その甘い匂いと花弁を風に乗せていく。

その平原に寝転がりながら、茶色いショートの彼の、突然意味のわからない話に驚いて視線を向けた。

「いや、ふと思ったんだよ。人って死んだ後はどこにいくんだろうなー。って」

「死んだ後って…それは、天国か地獄でしょ?」

「いんや、そういう話じゃなくて…その天国か地獄に行った後の魂の話」

うーん…なんて顎に手を当てながら悩む彼。

その姿を少しだけ眺め、再び視線を空へと戻しながら自分も考える。死んだ後の人間の魂は何処へ行くのか。

確かに、死んだ後は天国か地獄だろう。だがその後は、というのは考えたことがない。

輪廻転生するのだろうが、その前には何処で止まるのだろうか。例え止まらなかったとしてもどうやって輪廻転生するんだろうか。

…駄目だ、分からない。

「…駄目ね、全く思い付かないわ」

「俺もだ。というか、ちゃんと考えてくれたんだな」

「む、それってどういう意味よ」

失礼ね、と頬を膨らませて不服そうな表情と視線を彼へと向ける。その視線にたじろぎ、申し訳ないと両手を会わせ謝る彼の姿に我慢できず吹き出してしまった。

それにつられて謝っていた彼も笑いだし、二人して大笑いをしていた。



――その光景を、少し離れた場所から眺めていた。

そうだ。あの頃の私はあんな風に笑い、女の子のような言動をしていたのだ。

そして、側にいる彼と一緒にいることが嬉しくて。ことある毎に時間を作り、話していたものだ。

恋――彼に。何時も明るく、困っている人を放っておけず、友達思いの優しい彼に。私は、恋をしていたんだ。


それを改めて認識し。




「――だが、殺した」




風景が一変した。


「――貴様が、殺した」


先程まで見えていた優しく暖かな平原は消え、周りは燃える業火に包まれていた。

その中心に立つ自分の背後から、背中から抱き締めるように骨が浮き出た複数の腕が伸び、体を締め付ける。

だが、痛みは全く無く。しかして暖かな体を少しずつ冷やしていく感覚が広がっていく。


「――お前が、見殺しにしたのだ」


そうだ。私が彼を殺した。彼を見殺しにした。救いを求め、手を伸ばし、彼らしくなく瞳に涙すら浮かべていた彼を。

現れた魔術師の、魔物の恐怖に駈られて。彼をその真っ只中に置いたまま、クイック・メイデンで逃げ出したのだ。

それを認識した瞬間。自分の足元がまるで水面のように揺れ、ここから逃がさぬと言うように骸骨の腕が足を掴んだ。



「――殺した、殺した」



周囲から声が聞こえる。



「――お前が、殺した」



心に情熱を無くした私へと。



「――恐怖に負けて、逃げ出したお前が」



何時までも、いつまでも。



「――心から優しさを無くした、お前が」



私のことを許さぬように





「――殺したのだ」




そして、闇へと堕ちて行く――



















ピピピッ、ピピピッ、ピピピッ。


「――また、この夢ですか」

時刻は五時半、何時もの時間に目が覚めた。

枕元に置いていた携帯のアラームを消し、ゆっくりと体を起き上がらせる。

そうすると、暖かな布団に守られていた体が外気に晒され。冷たい空気が肌を刺す。だが、この程度で再び布団に戻ろうと思うほど、弱い心は作っていない。

ベッド側に揃えて脱いでいたスリッパを吐き、ゆっくりと、しかし大きく延びをする。

それを終えてからクローゼットへと向かい、中に干しておいたメイド服を取り出してからパジャマを脱ぎ、メイド服へと手早く着替えてからそれを綺麗に畳み、ベッドの上へと置いておく。

「しかし、また懐かしい夢を見たものです」

ヘッドレスは着けず、着なれたメイド服を揺らしながらキッチンへと向かいつつ呟く。

だが、それを呟いたところで見たという現実は。

彼を見捨てたという事実は、一切変わらない。故に、それ以上その事柄を考えることをやめる。

心を冷たく、冷徹に。

思考をクールに、クリアする。




――そうして、昔の罪から逃げるかのように。彼女の一日は始まった。
返信
返信0
封船さん (7d2uiw0o)2020/1/13 14:40 (No.33283)削除
誰かさんへのインタビュー。



「______どうやってあなたが僕の居場所を調べたのかは知りませんけど。おお、こわこわ。これじゃ一億総スパイ時代じゃないですか。情報化って怖い怖い。僕、機械音痴なのでそういうの全然わかんないんですよ。もう本当に。この前なんて、職場のミシン全部壊しちゃったんですよね、6台。…あぁ、ごめんなさい、ちょっと話が逸れちゃいましたね。

…………何から聞きたいですか?



___あぁ、そうそう……モルガ。懐かしいなあ。モルガは女の子だったけど車とか、飛行機とか、男の子が興味持ちそうなことが好きだったんです。あれは?って聞いたら「しょべるかー!」とか「ひこうき!」って舌っ足らずに……ふふ、可愛かったなあ。でも力は強くてね………同級生の子を泣かせて何回、あの人が謝りに行ってたことか。

……え?何で子供のあの人が謝りに行ってたかって?………僕達の母と父は顔を覚えてすぐに亡くなってしまって。だから、あの人が親代わりみたいなもんだったんです。意外とね、料理得意なんですよ?あの人。なんでもやればできる人なんです。当の本人は、物理にしか興味ないみたいだけど。まったく……ちゃんと仕事してるんでしょうかね…

でも、あの人の興味がそこに逸れたのは……モルガがいなくなってからでしたね。毎日毎日探しましたよ、町の大人も総出で。でも、何も見つからなかった。……現実逃避でもしたかったんでしょうか?あの人はモルガのことを溺愛していましたから。モルガだけじゃなくて僕のことも。もう、聞く手段が無いのでわかりませんけど。



___ごめんなさい、ちょっと一旦席を立っても……?……気分が…………すぐ戻ります。





……お待たせしました。…ちょっと気分が悪くなって……いや、ちゃんと話しますよ、大丈夫です。そういう質問もくるだろうという覚悟はありましたから。ただ、やっぱりちょっと………慣れませんね。


…………泣いてたんですよ、あの人。僕を殴ってる間ずっと。あんなぐちゃぐちゃな表情は見たことありませんでしたね……でも、よく見えなかったから怒ってるんだか泣いてるんだか、わかりゃしなかった。何か叫んでたけど一番最初に耳をやられたので聞こえませんでしたね。

案外少ないですよ、僕が覚えていることは。すぐに意識が飛びましたから。でもその後のことははっきり覚えてる。
……………ごめんなさい、これくらいにしてもいいですか…………すみません。



___そりゃあね…‥…今でも好きかって言われても………わかりませんよ。でも嫌いにはなれないんです。だって、恩の方が圧倒的に多いし、僕はそれを………まだ何も返していないんですから。返したのは罵声くらいだったんじゃないですか?はははっ、…………………笑えない。




でも、一つ思うのは、僕はもう二度とあの人に会うことはできない。会ったらどんな顔をするか、何を言ってしまうかわからない。










忘れさせてください。兄のことは、もう。」
返信
返信0
はかたさん (7bo9e9hr)2020/1/13 09:32 (No.33260)
馬ッ鹿だなぁ


わざわざ自分から近づいて壊そうとしてる。
覚えてないから仕方ないなんて言い訳何回目?
もう飽き飽きだ、うんざりしてる。
ほら、視聴者も冷めた目でお前を見てるぞ。

だけどご心配なく、紳士淑女の皆様!
此処からが面白い所になって来るのです!
だからチャンネルはそのままで、どうか見届けてあげて下さい。

まだ彼の過去も未来も何も暴かれてないでしょ?
突然同族を半殺しにしちゃって戸惑ってますよね?
いい加減焦らすのは寄せ、それこそ興ざめだなんて、まぁ落ち着いて。

現在の事しか分からない彼はただ走るしか出来ない。

監視役、友人、大切な人、彼の恩人___
誰が彼を止められるか、実に見物ではありませんか?






『你开心吗、屍屑』

『…………』




『是的、妈』
返信
返信0
さん (7bg8zs0x)2020/1/12 21:56 (No.33231)削除
『十二分にありうる結末』
【R15くらいを想定している】
⚠️死ネタ・首吊り(自殺)表現(うすあじ)⚠️
https://privatter.net/p/5381210
返信
返信0
さん (7bg8zs0x)2020/1/12 21:53 (No.33230)削除
『かえる』
書いてたこっちからしても意味不明、気持ち悪い。全年齢対象
https://privatter.net/p/5247973
返信
返信0
イクラさん (7csr6lv9)2020/1/9 01:49 (No.33046)削除
_ よく 、夢を見るんです 。まるで物語のような夢が __ 。

「お姉ちゃーん ! それ重たいでしょ ? 僕が運ぶから休んでてよ」
明るい声だけど落ち着きの帯びた声 。それは僕から発しているように聞こえた 。目の前にいる 姉 と呼ばれた彼女は 、困ったように微笑んで
「いつもごめんね」と言った 。
ヒョイと少し重量のあるそれを軽々と持ち上げて走る 。それだけの行動なのに心が満たされた感覚がする 。

お姉ちゃんは体があまり良くないようだった 。でも元気な姉で 、いつも外に憧れていた 。母や父はそれを許すことはできなかったけれど 、何時も家族仲良く過ごしていたと思う 。
母は姉とお料理のお勉強 。"僕"は父に体術を習っていた 。
辛かったし中々お父さんには勝てなかったけど 、優しく教えてくれるお父さんが好きだった 。疲れてクタクタになったとき 、美味しい料理で迎えてくれるお母さんが好きだった 。
そして何より _ 何時も色んな本を読んでくれたお姉ちゃんが大好きだった 。

でもそれが壊れたのは突然だった 。
僕が10歳のとき 。姉の体の具合が良い兆しに向かっていた 。だから特別に 、2人で街へ出かけることになった 。残念だけどお母さんとお父さんはお仕事があったからいけなかった 。
2人で初めて行った街は何時も以上に楽しくて 、輝いていた 。お姉ちゃんもすごく笑顔で 、籠の中の鳥が外の世界を知ったみたいにはしゃいでいた 。
「早くこっちへおいでよ 、カルテ 」「あんまり はしゃがないでよ 、リーフ姉さん 」
2人で笑いあって 、手を繋いで街中を歩き回った 。手を繋ぐのは少し恥ずかしかったけどね 。
僕はお姉ちゃんに 此処で待っていて 。と言って 、こっそりプレゼントを買った 。どんな顔をするかな 。喜んでくれるかな 。淡い期待を抱きながら 、姉の元へ戻ると姉の姿はそこに無かった 。
一気に不安の渦が流れ込んできた 。お姉ちゃんはどこ … ?
だけど姉は外へ出たことがないから 、きっと僕より迷って困っている 。僕がしっかりしなきゃ 。
プレゼントを抱えて近くの場所 、姉が行きそうな場所は探した 。でも見つからなかった 。
そんなとき 、フッと視線に "結界" が映った 。
_もしかして ……_ ?
僕はそのとき結界のことはわからなかった 。でも母と父から厳しく言われていたんだ 。近づいてはいけない 。と 。
でも 、でも 。もしかしたらと思うと近づかずにはいられなかった 。
人気が全くなくて怖かった 。 異様な空気に身動きが取れなくなりそうだった 。でも 、姉は絶対見つけたかった 。

結界に踏み込もうとしたそのとき 、後ろから力強く引かれた 。思わず尻もちをついた僕にその人は僕を叱った 。

_死にたいのか _ と 。

僕は一瞬で背筋が凍った 。此処はそんなに危ない場所なんだと 。そんな場所へ姉が行ってしまったかもしれないのかと 。
泣きながら事情を話す僕にその人は 「私が必ず連れ戻そう 。」と約束してくれた 。
尻餅がついたときに落ちたプレゼントを拾い上げて僕に渡して
「姉への贈り物なんだろう ? 帰ってくるまで大切に持っておけ 。 」そう言って軽く微笑むと 、結界内へと消えていく。
その人は酷くかっこよかった 。それと同時に謎の安堵感に包まれた 。でも不安は拭いきれず 、僕は家まで休まず走った 。

_でも 。

母と父の姿はなかった 。もう仕事は終わっているはずなのに 。家で待っているはずなのに 。
部屋の中には赤黒く汚れた物しか僕の視界には映らなかった 。

__ 嗚呼 。これは誰の物語 ? こんなバッドエンドのスト-リ-僕は知らない 。僕には姉もいない 。父も母も 。でも…それならどうして 、女性物のピンなんてしてるの ? … 嗚呼きっと 。"あの人" が僕にくれたんだ 。だから … きっと ……… この物語は何かのフィクションなんだ 。こんな話は知らない 。こんな記憶知りたくもない 。僕は … ボクは __ 。

僕は小さな頃の記憶がありません 。
ほら小さな頃って記憶が残りにくいでしょう ?
でも 、あの人は覚えているんです 。
僕を助けてくれた 、この花のピンをくれたあの人は 。
僕にとってのヒ-ロ-なんです 。

でも … 時々 、知らない女の子が出てくるんです 。
僕のつけている花のピンがとても似合いそうな女の子が 。


「_1人にして … ごめんね _ 。」
返信
返信0
さん (7brqo6vd)2020/1/5 17:40 (No.32861)削除
【THE ORIGIN OF OVERLORD
〜AR・CA・NA IF STORY〜】

PROLOGUE

 ━━世界には邪悪という意志がある。
 今もそうだ。
 今、世界には邪悪が蔓延っている。
 それは保身の為に。
 それは支配の為に。
 生きとし生けるものは皆、生まれながらにしてエゴの塊だ。
 ならば。
 ならば今、その総てを壊してやろう━━。

 時に、新魔導歴500年。
 魔導機関「AR・CA・NA」。
 その本部において、事は起きる。

「〜♪」
 空の涙が、身を叩く。
 何も泣くことはないだろうと、男は天を仰ぐ。
 心配するな。
 今から自分が、おまえの涙を拭ってやろう。
 その男の瞳には、表情には、見るものを畏れさせる何かが込もっていた。
 男は、巨大な建築へと足を踏み入れていく。
 まるで己が招かれざる者であることを、自ら証明するかのように、堂々と。
 その建築は、燃えていた。

「な、なんだ……おまえは!」
「くそ、魔導士共は何をやっている⁉︎」
「なぜ魔術師がここで、これだけの力を使えるんだ‼︎」
 中へと入れば、醜く老け、欲望に身を堕とした者達が、思い思いに叫んでいた。
 この男からすれば、その叫びの内容などはどうでもよかった。
 ただ、どこか悲痛で、ありえないという現実から目を背けたような響きが心地よく、そして怒りを増幅させた。
「…………おまえ達がしたことを、し返しただけだ」
 男が、雨に濡れた口を開く。
 何も知らぬ無知な狸共は、その言葉を聴いて嘲笑う。
「は、何を言ってるんだ、おまえは」
「魔術師如きが、我ら人間に歯向かうことこそあってはならないことだ」
「左様。この世界は人間のものだ。魔術師は大人しく排斥されていればいい」
「貴様もすぐにわかるさ。魔導士共が来れば、貴様などひとたまりもない」
 そう、狸共は言う。
「…………く、くふふ、ははははは」
 男から、笑みが溢れる。
「な、なんだ、何がおかしい!」
「おかしいさ。今まで俺は、おまえらみたいな奴らの為に辛酸を舐め尽くしてきたのかと思うとな」
 この笑みは嘲笑だ。
 いつまでも進歩がない猿共への。
 いつまでも理不尽な世界への。
 そしていつまでも決意のなかった、惨めな自分への。
 男は指を鳴らす。
 すると、醜い獣達が続々と、群れを成して現れる。
 その獣の何匹かは、骸を持っていた。
 ばらばらに引き裂かれた、無惨な骸。
 獣からそれを受け取ると、狸共に見せつける。
「…………馬鹿な。それは、まさか」
「……なんだっけか。おまえらの言ってた……あぁ、魔導士の、首」
 その顔は、ひたすらに悲痛な、恐怖の表情で硬直していた。
 その顔だ。
 それが見たかった。
 周りの者が皆恐怖で引きつっているのに、その元凶は本当に、心の底から楽しそうに笑っている。
「あ、ありえない! その男はかなりの実力者だったはずだ……」
 その言葉に耳など貸さず、男は骸に五指を当たる。
 瞬間、骸はぼこ、ぼこと音を立てて形を変えていく。
 口が裂ける。
 手足が生える。
 そうして生まれたのは、邪悪なる獣。
 その形はどこか素の面影を残し━━おぞましく。
「う……うわぁぁーっ⁉︎」
 先程よりもさらに恐怖に歪んだ声が響く。
「は、はは、はははははは!」
 楽しいぞ。
 もっとだ。
 もっと楽しませろ。
 そう言わんばかりの笑い声と共に、獣達が暴れだす。
 人を襲い、壁を壊し、恐怖を刻む。
 それはまるで、宴のよう。
 かつての概念を破壊し、新時代を祝すパレードだ。
 男の手が、懐を弄る。
 手にしたのは、闇の色を閉じ込めた琥珀。
 それを地にぶつけて割れば━━男の力の源が、一斉に溢れ出す。
 宴はさらに激化する。
「や、やめろ、こんなことをして許されると……うわぁああああ⁉︎」
「腕が、儂の腕がっ……ぎぃやああぁっ‼︎」
 断末魔と血を全身に浴びながら、男はそこにあった椅子へ向かい歩みを始める。
 そして椅子に、勢いよく座れば━━また一匹、大きな獣が現れる。
 獣が口を開くと、唾液と共に一人の男が吐き出される。
「げほっ、げほっ……どこだ、ここ……」
「お、目が覚めてたか」
 手っ取り早くて助かる。
 男は自身の状況を把握しきれていない様子だったが、周囲を見回した途端、戸惑いよりも、恐怖が顔を現れる。
「な……なんだよ、どうなってんだよ⁉︎」
「…………説明するの、めんどくさいからいいや。おまえの魔術を貸せ」
 彼を拉致したのは、その力を求めてのことだった。
「……は? 何を言って……」
「いいからやれよ。それとも、ここで兄弟揃って死ぬか?」
 獣が口を、少しだけ開く。
 中から顔を覗かせたのは、その男に似た、幼い少年。
「兄ちゃーん!」
 その顔には涙やら鼻水やらが溢れていた。
 とても汚く、それなのに未だ自分が助かるとでも思っているかのように、目には光がある。
「…………頼む、弟には手を出さないでくれ! 俺のできることならなんだってするから……だから……」
 男は無様に、頭を下げる。
 頭を地面に擦り付けて、許しを乞う。
「その言葉が聞きたかった。んじゃ……そうだな、『ジーク・アーデルロード』。こいつを、世界中の記憶から消し飛ばせ」
「せ……⁉︎ 無理だそんなの、世界中なんて……!」
「誰が断っていいって言ったよ」
 その無様な頭を、思いきり踏みつける。
 顔はきっと苦痛に歪んでいるだろう。
「できるかできないかじゃない……やるんだ。今ここで殺してやってもいいんだぞ?」
 そう脅す表情は、ひどく晴れやかで。
 とても顔と台詞が一致していない。
 それがまた、不気味な恐怖を加速させる。
「わ、わかったよ……やればいいんだろ⁉︎」
 男が目を閉じ、念じ始める。
 やがて力が満ちたな、という頃に、頭に手を添える。
「な……なにを……」
「手伝うのさ」
 手を触れると、男は魔力を暴走させて身体の形を変化させていく。
 その暴走した魔力が、世界中へと広がっていく。
 力を使い果たした男は、干からびて力なく倒れる。
 これで、復讐は完了だ。
 だけどまだだ。
 せっかくここまで来たのだ。
 派手にやらなきゃ、男が廃る。そうだろう?
 指を鳴らす。
 遠くから爆発音が響き渡る。
 始まった。
 目の前でも、世界中でも。
「さぁさぁ、始まりだ。全部壊れるまで終わらない、ドロドロの争いだ」
 呟いて、再び天を仰ぐ。
 どうだ。
 世界を変えてやったぞ。
 これでおまえも、泣き止むだろう?
「おまえ……何がしたいんだよ‼︎」
 甲高い声が聞こえる。
「見りゃわかんだろ。壊すんだよ。全部」
「ふざけんな! 俺達が何をしたって言うんだよ……兄ちゃんを返せよっ……!」
「うるせぇなぁ、おまえ」
 獣が口を閉じる。
 たったそれだけで、その少年の命は、いとも簡単に奪われる。
「はっ、雑魚が。……でも、なんかアレだな。こうして座ってると……王様みたいだなぁ。そう思うか?」
 獣達が吠える。
 それはまるで、歓喜の雄叫びのようで。
 まだまだ、笑顔が止まらない。
「……よーし。祝え! 俺の名はキングー! 革命によって世界を変えた、新たな王の誕生だ‼︎ ……ふふ、ふひひ、あーっはっはっはぁ‼︎」
 狂気に満ちた叫びが、笑い声がこだまする。
 世界は変わってしまった。
 変えられてしまった。
 そして世界の歩みは加速する。
 暴走していく。
 この世界を再び変えるのは誰か。
 ━━願わくば、忘れられた王が、この偽りの僭王を滅ぼさんことを。
炭酸飲料さん (7bqhhku4)2020/1/7 01:33削除
『その男は「おう-王-」と応える』
返信
返信1
緑の人さん (7dku7mfx)2020/1/4 12:09 (No.32761)削除
むかしむかし、あるところに、心優しき少年と、仲良く上手な少女がおりました。
彼らは現世と異界の狭間、その境となる森の中で毎日会ってました。
それはそれは、とても楽しく優しい日常でした。お話をすれば、お互いの事がより深く分かりました。一緒に採った木の実を食べれば、格別なおいしさでした。
後に、ひょんなことから2人の種族がそれぞれ違う事を知っても、その絆が断たれる事はありませんでした。
……ですが、そんなある日。悪い悪い鬲泌シセ縺ョ蟆?焔が2人の幸福を歪めました。
蟆?焔は彼らに菴募コヲも驫?シセを浴びせました。蠑セ荳ク縺ッ雋ォ縺九★縲∽サ」繧上j縺ォ彼らから気力を奪っていきました。菴募コヲも菴募コヲも。その日、森には1日中蠑セ荳ク縺梧叛縺溘l繧音が響いていたようです。
縺昴?蠕後?∝ー?焔縺ッ諢剰ュ倥′譛ヲ譛ァ縺ィ縺励※縺?k?剃ココ縺ォ縺ゅk蛻キ繧願セシ縺ソ繧偵@縺セ縺励◆縲ょー大・ウ縺ォ縺ッ縲?ュ泌ー主」ォ縺ォ蟆大ケエ縺梧ョコ縺輔l繧句、「繧偵?ょー大ケエ縺ォ縺ッ縲?ュ碑。灘クォ縺ォ蟆大・ウ縺碁?」繧後※陦後°繧後k螟「繧偵?
そうして、蟆?焔は飽きた玩具の様に彼らを放っておき…森には、静寂が訪れました。

縺昴≧縺励※蠖シ繧峨?螟「繧堤樟螳溘□縺ィ諤昴>霎シ繧薙〒縲∝ー大・ウ縺ッ逶ョ縺ョ蜑阪〒蛟偵l縺溷ー大ケエ縺梧ュサ繧薙〒縺?k縺ィ隱、隱阪@縲∝ー大・ウ縺ッ蠕ゥ隶舌?轤コ縺ォ蜴サ繧翫∪縺励◆縲ゅ◎縺励※蜴サ縺」縺溷セ後↓蟆大ケエ縺檎岼隕壹a縲∝ー大・ウ繧定ヲ九▽縺大?縺咏ぜ縺ォ縲?ュ碑。灘クォ繧剃ク∝ッァ縺ォ谿コ縺怜ァ九a縺セ縺励◆縲
……例え、この物語が全て晴らされたとしても、彼らの手にこびりつく血は、決して落ちる事はありませんでしたとさ。
返信
返信0
炭酸飲料さん (7bqhhku4)2020/1/2 21:48 (No.32662)削除
○バイク娘セミコ@yy99 1月2日
ㅤㅤㅤお年玉でかっこゆいネックレス
ㅤㅤㅤ買っちゃったんだけど、
ㅤㅤㅤ似合ってるかな…

ㅤㅤㅤ#ネックレス #アクセサリー
ㅤㅤㅤ#お年玉奮発
ㅤㅤㅤ#バイク好きと繋がりたい
趣味丸出しメーカーでつくりました
返信
返信0
菓子丸さん (7bep69l3)2020/1/2 12:12 (No.32608)削除
【監視役の日常】

監視役。それは魔導機関『AR・CA・NA』本部から危険人物だと判断された人間に対し、反抗もしくは危険行為をしていないかを監視し、本部へ報告する仕事である。監視対象者の殆どが凶悪とされており、万が一の為強さも求められる大変な、非常に大変な仕事だ。

「この糞駄犬がァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"!!!!!!!!別の監視役さんになぁに威圧かけてやがるんだ!!!!テメェは偉くなったつもりかァ????ワイがいなかったら殴る気だっただろが!」

「イッッッッ……ッ!!!!!ッ……」

支部の離れにあるアルファー隊隊長Zeroの住処となっており、滅多に人が来ないはずの古びた倉庫にて、響き渡る罵声の音と声にもならない悶え声。痛みで頭を抱える彼を殴ったであろう右拳は未だ解かない軍人は冷ややかな紅蓮の視線で睨みつける。このやり取りは一度や二度ではない。何度叩けばこの馬鹿は睨みつけるのを辞めるのだと呆れるのも何百回。何故こうなったのだと深いため息をつき、錆びたパイプ椅子にもたれかかる。

本格的にACEを仕事にいかせる為、監視役が必要と判決が下ったその日、呼び出されたκαπετανιοζは同じ飛行機タイプであり、かつて学生時代に戦闘機パイロットの乗り方を教えていた者として監視役を命じられた。出会った頃は、手錠にかけられたまま、ベットに横たわり尋問による怪我からかは分からないが包帯が巻かれ激戦区から帰ってきた兵士よりも悲惨なもの。

話を聞いたところによれば、爆破による衝撃で一切の記憶がないが飛行に関しての技術等は問題ないらしい。尋問官が言うことは俄かに信じがたかったがご飯の食べ方もままならないのだから本当なのだろう。本部が決めた事だから遂行するのみだが、本部魔導士に対し明らかに威圧的かつ好戦的すぎるのは記憶がないだけではなさそうだがなと目を細めた日が懐かしい。

今や奴を止める為に愛の拳を奮って千切っては投げ千切っては投げ……。他の監視役よりも倍の給料貰ってもいいのではないだろうかと訴えでてももぎ取れそうだ。よし、交渉してやろう。

「はぁ〜……ワイってば生真面目すぎて困るがぁ」

「生真面目ではなく暴君じゃ」

「そんなに拳を食らいたいかクソ野郎。吐くまで殴ってやってもいいんだぞ」

「……さーせん」

「本気で謝まらねぇかこの馬鹿野郎がぁぁぁぁぁぁ!!!!」

再び始まったコング。果たして後何十年この不死身の監視役をしなくてはならないのか。見えないゴールにも負けるな監視役。頑張れ監視役。どうにでもなる。
監視役καπετανιοζ(カペタニオス)
返信
返信0
エシラさん (7df1fjhh)2019/12/31 10:45 (No.32235)
夢を見た。
不思議な夢だ。
もう何回目になるのだろうか?
この幻想的な夢は、わたしが誕生した時から見続けている物だ。
諸行無常のこの世で変わる事が無く、永劫見続けるであろうメルヘンな世界。
飽いる事は無いけれど、別の夢を全く見ないと言うのは流石に変ではないかと考えた事もある。
他の方々はそれが一定では無いと答えた。
同種の物を区切られる事無く恒久的に見続けるのは可笑しいと回答された。

淡い紫色の空、天辺に月を模った巨大な飾りが付いた塔、アメジストや綺麗な真っ白な鉱石で構成された大地。
とても綺麗で、穢れが一切見当たらない。
潔癖、潔白、清浄―――こう言った熟語が似合う空間だ。
この不思議な世界で、わたしは今日も旅をする。

「お月様が綺麗…」

紫色に輝く三ケ月が、煌びやかで華やかな色を奏でていた。
何回もこれは直視しているが、飽きる事は無い。
自然と跪き、礼拝を行なう。
素晴らしい物を拝ませてくれたお月様への敬意と感謝だ。

それを済ませた後、塔に向かって歩き始めた。
何時も見る建造物であるが、内部には毎回と言っていい程に愉快な物が存在する。
面白い物を探す為に屋内へと入ると、巨大な塔の螺旋階段を上る。
二階の部屋を見てみる。
一つの部屋の中に入ると、沢山の縫い包みと天蓋の付いたサファイア色のベッドが存在していた。

「可愛い!」

瑠璃色の熊さんの人形を見ると、思わずそんな感情を抱いた。
子供の様な思いだなと、我ながら感じる。
衝動的に縫い包みを両手で持って抱きかかえる。
そのままベッドへと直行し、仰向けになる。

「何だか眠くなって来ました」

此処は夢の中なのだけど、眠くなるなんて事がありえるのだろうか?
何度もそうなって来たがやはり不思議ですねと感慨を抱く。
そのまま、瞼を閉じて眠りに付くのであった。
返信
返信0
炭酸飲料さん (7bqhhku4)2019/12/30 18:14 (No.32194)削除
○バイク娘セミコ@yy99 12月28日
ㅤㅤㅤ相棒と一緒にイルミネーション!
ㅤㅤㅤクリスマス終わっても結構雰囲気あんㅤㅤㅤㅤㅤじゃん〜っ!

ㅤㅤㅤ#ツーリング #イルミネーション 
ㅤㅤㅤ#バイク好きと繋がりたい
ななめーかーで作成しました
返信
返信0
炭酸飲料さん (7bqhhku4)2019/12/30 03:19 (No.32169)
○バイク娘セミコ@yy99 12月30日
ㅤㅤㅤ今日はこんなところ行ってきた!
ㅤㅤㅤ夕日に染まる街並みが綺麗だったなぁ

ㅤㅤㅤ#ツーリング #夕日 #バイク好きとㅤㅤㅤ繋がりたい
ゆる女子メーカーさんからつくりました
返信
返信0
さん (7bg8zs0x)2019/12/29 18:01 (No.32138)削除
宛先:AR・CA・NA本部

送り主:第Ⅲ地区防衛魔導士団所属 ノクス小隊隊長 ヴォルヴァ・フォルセティ

件名:不可解な結界について

先日、結界内調査において、新たな区域の探査に入ったところ、従来の結界とは異なる領域を発見した。
あれは人間と魔術師を隔てる例の結界と同様、人為的に張られた結界と思われる。広さは不明。中の魔力密度は他の場所とは変わらないようだった。
負傷者がいたため詳しく調査はしていない。森に覆われ、その木々の隙間から灰色の建物のようなものと、恐らく池と思われる澄んだ水のようなものが見えた。
道のようなものが整備されていたことから、魔術師の居所だと考えられる。急を要するわけではなさそうだが、引き続きの観測が必要だと提案する。


大まかな座標を添付して送る。正確ではないので参考程度に。
返信
返信0
ノドンさん (7da4g867)2019/12/28 00:10 (No.32069)削除
遅れましたがクリスマスの椿さんのお話です


「大丈夫。サンタさん、絶対リゲルの所に来るから。
だってリゲル、1年間ずーっとお勉強もお母さんのお手伝いも頑張って、良い子にしてたでしょ?だから、もう寝なさい。
でないと明日プレゼントで沢山遊べないでしょ?
──良い子ね。お休み、可愛いリゲル…。」
どうしてもサンタさんと会いたい。
会って自分の手でプレゼントを貰いたいと駄々をこねていた息子を宥め、ようやく寝かしつける事に成功すると、彼の額にそっと暖かいキスをすると、息子の目を覚まさせない様に、「プレゼントは入らないから、部屋の外へ置いておいたよ」と書かれた、「サンタさん」からの手紙と、自転車の鍵を入れると、夜明けに息子が念願の自転車を手に入れて喜ぶ姿を想像して柔らかな笑みを浮かべると、椿はある所へと向かう。
立ち止まったのは、部屋に備え付けられていた箪笥。戸を開けると、夏物の服が詰められた空間を、手探りで探し始める。
「えっと……確かここに……あった…!」
積まれた服や布の中に埋もれた感覚の中で触れた感覚は、椿にとっては十数年経っても忘れる事のない感触。確信と共に、箪笥を溢さないように手を引くと、握られていたのは、古ぼけ、埃まみれになったくまのぬいぐるみ。それを持ち出すと、居間の机に腰掛け、息子を起こさない様に部屋の電気は消したまま、卓上ランプに明かりを灯すと、懐から一つの小さな白い小箱を取り出す。先日ある「サンタ」から貰ったものである。
小箱をテーブルの片隅に置くと、裁縫道具でぬいぐるみの破れや解れを直していく。仕上げに、ぬいぐるみの背中の縫い目を解いていくと、小さな箱が現れた。穴が開いていて、何かが刺さりそうな箱。──その箱を、慎重に、壊れない様に開けると、中に入っていたのは、ネジが割れ、歯車が割れ、ゼンマイが紛失した、歌声を亡くしたオルゴール。
フゥッ…と一息して意気込むと、白い小箱を開け、中に入っていた真鍮線、そして光り輝くゼンマイを取り出す。ようやく手に入った最後の部品。市街地の色々な店で部品を探したが、見つからなかった部品。以前から集めていた部品と共に、慣れない作業をしながら、丁寧に、丁寧に部品を噛み合わせ、オルゴールを蘇らせていく。作業が終わる頃には、もう夜もすっかり更けてしまっていた……。
「──お願い…!」
一人の母のパッチワークによって蘇ったオルゴール、祈りを込めた震える指で、煌めくゼンマイをキリ…キリ…と回し、そっと手を離す
──その音色をきいた瞬間(とき)には、既に涙が溢れていた。忘れるはずがないあの日、私が母になる前、あの人と過ごしていた頃。あの人が私にくれた聖夜の贈り物…。生涯を誓い合う指輪と共に贈られた、可愛いくまのぬいぐるみ。背中のゼンマイを回して流れてくるのは、優しく、二人の恋、永遠の愛を祈る歌……。
──あの日、2人が引き裂かれてしまった日…まるで2人の人生が終わりを告げるかのように、そのぬいぐるみはオルゴールごとボロボロになってしまった……。それからは、魔導士となり、母となり、いつしかぬいぐるみは、記憶の底に埋もれてしまっていた。しかし、先日のとっさの思いつきが、あの日の…妻として、女としての椿の想いを、その音色と共に蘇らせたのである……。
ぬいぐるみを抱きしめながら、椿は音を立てずに部屋を後にすると、何かに引き寄せられるようにたどり着いたのは第三支部の屋上であった。聖夜を彩る、満点の星空。寒空の下、椿はゆっくりと息を吸い、深呼吸をすると──
「あなた!リゲルはとっても良い子に育ったよ!あなたにそっくりで、優しくて、強くて、立派な息子に育ったよ!メリークリスマスあなた!メリークリスマス!!」
ぬいぐるみを抱きしめながら、2人を紡いだ音色と共に、暖かい雫を零しながら、星空に向かって叫んだ。それが空に眠る彼の耳に届くように、否、きっと届いている。その想いに応えるように、一筋の流れ星が、聖夜の星空に翔けていった

──これは、ある聖夜、母が一人の乙女に戻った、小さな物語。
この物語が、この戦いが終焉を迎えた後も、彼女の胸に刻まれ続けている事を、祈り続けるーー
返信
返信0
さん (7bg8zs0x)2019/12/18 21:37 (No.31598)削除
いいいいいやだいやだいやだいやだいやだ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!まだ死にたくない、おれは生きてたい!!!!!!!死にたくない死にたくないしにたくないしにたくないしにたくない!!!!!!!!!!!!!!どうしておれがもうわけがわからなくってこれっておれはしぬってことでそれはそれはそれはそれはそれでそういうことでええとあれなんだったっけおれは死んでしまう!!!!!!!!!!!!!!何もないのにおれはまだいきていたいしにたくないいきたくない!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!あああああああああああああそんなことあるかよおれがどうしてもうそんなひどいことをするあのときみたいに!!!!!!!!!!!!!!ころされる!!!!!!!













俺は魔導兵装に生かされ、そしていつかそれに殺される。不変、普遍、不偏、不能。理。生きたくないが死にたくもないと願うのはいけないことだろうか。人生は生まれたときから死に続けているとは言えど、だめだった。これはそのスピードを加速させる。俺が死んだら新しい誰かに与えられるのか。また誰かの人生を食べて生きるのか。俺は捕食者ではなく被食者だったのか。殺される前に殺すしかない。俺はまだ死にたくない。生きたくない。
細切れになって捨てられていた
返信
返信0
さん (7brqo6vd)2019/12/17 23:39 (No.31548)削除
『想定しうる最悪の未来』

【名前】ジーク・アーデルロード

【性別】男

【年齢】66

【容姿】身長180cm。白い髪はオールバック。藍色の瞳は鋭い眼光に満ちており、顔の左半分を覆うような大型の眼帯を装着している。基本的に以前と同じ服装をしているが、黒いネクタイとブーツを着用し、黒と金の豪華さを感じさせるコートを羽織っており、手には杖を持っている。人によっては悪趣味な印象を与えかねない装飾が増えている。

【性格】冷酷にして強情。人間、魔術師の両者を敵とし、敵対者に対しての容赦は一片もない。以前のような豊かな表情や優しさは長い戦いによって失われており、それはいつかの彼自身が否定していた自身の悪心がより表層に出たようでもある。かつて共に戦い、散っていった仲間たちの墓標群(石像)の前に玉座を設置しそこに座っており、自らを王と呼ぶ。過去に縛られ、未来を否定するその姿はまるで亡霊のようでもある。

【魔導兵装名】Venom Royer 『Ragnarøk』(ラグナロク)

【シリーズ】SERIES:Relic

【外観】腰に巻かれた黄金のベルト。

【トリガー】不明
【魔導】不明
【対価】不明

【備考】・この姿は無数にある可能性の一つである。ここへ行き着く条件は第二次魔導大戦の勃発、大切な人を失うことによる慟哭…など。
【SV】「私は王である。お前達に勝つ術などありはしない」
「この世界は間違っていた。
故に、私が正したのだ。私こそが救世主だ」
「彼等は世界の為に戦った誇り高き英雄達だ! 彼等を忘れ、未来を求めるなど…この私が許さない‼︎」
返信
返信0
ノドンさん (7cvop06t)2019/12/17 21:41 (No.31533)削除
宛先:AR・CA・NA本部
送り主:第Ⅸ地区防衛魔導師団所属団員E(匿名)
先月の魔術師襲撃の際の不可思議な現象について

ヴェスタ防衛魔導師団員■■■・■■■■■■■です。先月の魔術師襲撃の際に起きた、謎の現象について報告させて頂きます…。
あの日、私達は撤退を余儀無くされ、部隊長…ティアさんの決死の行動に応える為にも、がむしゃらに走っていました…。しかし魔物の総力はそれすらも上回り、私達部隊のすぐ背中に、連中の凶刃が迫って、死を覚悟した瞬間……その瞬間…、海が……“海”が見えたんです…。確かに私達は陸路を走っていた筈なのに…、気付いた時には、魔物も、魔術師の気配も消えていて、私達は海の、まるで何十…何百年も何も無かったみたいに、波一つ立っていない水面に立ち尽くしていて、それに気付いた瞬間には、私達は海に落ちて、あっという間に意識を失ってしまいました……。
───気がつくと私達は、硝煙と砂埃に汚れた空ではなくて、まるで、ペンキの缶をひっくり返した様に真っ青な青空の下、雪の様に真っ白な砂浜の上に倒れていました…。私が一番に目を覚まして、朦朧とした意識の中で、部隊の安否を確認しました。…全員無事でした。そしたら、突然沖の方から光が見えたんです…!光の中には、「何か」がいる…立っているのがわかりました…。意識が朦朧としてたのと、逆光の強さで、その姿はよく見えませんでしたが、その輪郭は確認出来ました。まるで、博物館で見た旧世代の彫刻の様に綺麗で……男性の様な逞しさ……それでいて、女性の様な美しさをも感じました…!それはまるで、私達の安全を見届けたかのように、ゆっくりと遠ざかっていったんです。声を振り絞った瞬間、まるで二度寝から覚めた様に、ハッとした感覚がしたかと思ったら、私達は…いつの間にか、避難施設の前に倒れていて、あの海も、砂浜も、いつの間にか、無くなっていました…。私達の衣服にも、砂浜の砂は付着していませんでした…。
───あれは一体何だったんでしょうか……。あまりにも戦地に不釣り合いな青空に、白い砂浜……。──そして何よりも、あの光の中に立っていた存在……。新手の結界なんでしょうか…?それとも……?
返信
返信0
ひよ。さん (7c8v1izh)2019/12/1 22:20 (No.30750)削除
草花を結んで作った指輪で将来を約束し合うお話。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

漆黒の海に散りばめた宝石が、夜の帳の降りたこの荒廃した都市を照らしていた。人は去り、手入れされなくなった高層ビル群には蔦が生い茂り、苔はむし、崩れかけているものさえ存在する。そんな、文字通りのコンクリートジャングルの中心部とも言うべき場所には、本来いないはずの、二人の人影があった。
 程よい高さの瓦礫に、二人は肩を並べて腰を掛け、ビルとビルの合間から、宛ら劇場で幕に仕切られた舞台の役者を眺めるかの如く、首を上へと傾けて、指を指したり、あるいは、横を向いたりしつつ、月光のような柔和な雰囲気で語り合っていた。
 今、この場所には、彼ら以外に人はいない。夜の静謐と闇が、黒洞々と広がるばかりである。彼らがどう話そうが、それはすぐに、吹き抜ける風やら、重たく天から垂れ下がる暗幕にかき消されるだけであった。
「──あの星とあの星を結んで、ーーー座になるんですよ。……ううん、それじゃなくて、あれです」
 二人のうち、一人の少女が、天を指で指し示しながら、隣に座る男にそう説明をしている。彼女は自分で指を指した後、小さな笑みを湛えながら、小首をふるふると横へ振り、そうして隣の男の手に手を添え、そっと、自らが示したい星へと向けた。
「あれが……なるほどね。君は本当に星に詳しいものだね、ステラ君」
そうして男は、ステラと呼ばれた少女が指した星の名前を、懐からメモ帳を取り出して、几帳面な形をした文字ですらすらと綴ってゆく。その様子を覗き込むように眺めたステラは、にこやかな表情をぱっと浮かばせて、──綺麗な字ですね、ヴィルフリートさん。
「特務魔導士になってからは、前より字に気を使うようになったんだ。上に提出する書類も増えたからね……」
ヴィルフリートと呼ばれた男は、メモ帳をぱたんという小気味良い音と共に閉じて、上着の内ポケットへ、そっと仕舞った。彼が隣を見ると、メモ帳を眺めていたステラの、七月の澄み渡る、鬱陶しいくらいの蒼穹に似た色合いの瞳で、ヴィルフリートの瞳へと視線を注いでいた。
「──どうしたんだい?」
ヴィルフリートがそう問いかけても、ステラは、特に何を言うわけでもなく、依然として彼の瞳を見つめた後に、ふふっ、という鈴を転がす声色と共に、眉を八の字に下げて、小さく彼に微笑んで見せた。
「別に、今くらいはお仕事のこと、“忘れても”いいんじゃないですか? 息抜きと思って、天体観測に誘ったんですから」
ステラは、彼と5年ほど同じ小隊で、幾つもの死線を越えてきた。言うなれば互いが互いの半身であり、多少の変化ならば、それこそ並べられた数個の飴玉を数える程度には容易であった。このところ、物忘れが激しいのである。ヴィルフリートの魔導兵装の対価は《記憶》であるために、戦い続ければ続けるほどに、全て忘却の彼方へと霧消してしまうのだが、その傾向が出始めたとでもいうべきだろうか。ともかく、彼に全てを忘れられては、ステラ個人としても小隊としても、果てにはアルカナとしても、非常に不利益な事象となってしまい兼ねないのだ。
「息抜きね……気を遣わせてしまったかい?」
彼の思考から消えかかっていた《目的》を、そう呼び戻す。思い出したかのように、ステラの方を向いてそう言葉を紡いだヴィルフリートを、ステラはふうわりとした雰囲気を纏ったままに、そっと宥める。
「こういう時間を設けないと色々忘れちゃいそうですからね、ヴィルフリートさんは。それにね、ステラ、……」
冬のぴんと肌をつく寒さを醸し出す早朝の空の色を抜き取った髪が、ふわふわりと風に靡くたびに、星を齧るような甘い香りが漂う。ステラは視線を逸らし、斜め下を向きながら、そんな風に口を噤んでいた。ヴィルフリートが不思議そうにその顔を覗き込めば、顔は下に向けたまま、目線だけを彼に向けて、ステラは言葉を連ねた。
「──ステラは、“ヴィル”がステラのことを忘れるのが嫌なんだよ。だから、こうすれば憶えていてくれるかな……忘れても、思い出してくれるかな、なんて」
ヴィルフリートはそっと、ステラの顔が向く先に視線をやった。花が、咲いている。青紫色の、小さく可憐な花を幾つも身に纏った花だった。ヴィルフリートはそれを、骨董品にでも触れるかのような手つきで茎から摘み、しばらく自分の目の前で眺めた後に、はっと閃いたように口を開いた。
「ステラ、手を出して」
困惑したように顔を上げるステラに、彼は、いいから、と念を押した。不思議そうに左手を差し出したステラの手を、彼はそっと包んで、しばらく離さなかった。やがてその手は離れ、かと思えば、手に持っていた花をそっとステラの薬指へ、器用な手つきでくるりくると巻きつけ、結んだ。
「──ヴィル?」
「スターチスという」
蚊の鳴くような声で彼の名を口にするステラを遮るように、食い気味に、彼はそうとだけを告げた。
「スターチス……このお花の名前? でも、これって、……」
「スターチスの花言葉は《変わらぬ心》と《途絶えぬ記憶》でね。今僕は君に、記憶を途絶えさせないことを約束したのだけれど」
この荒んだ時代、人は減り終焉を迎えつつある時代で、それは最早ただの真似事に過ぎないのかもしれないけれど、ステラの左手の薬指に結ばれたスターチスの指輪は、紛れも無い、本物だ。
ステラは同じようにスターチスを摘み取り、同じように彼の名を呼ぶ。
「……ヴィルも、手を出して」
何も言わず差し出された左手に、薬指に、ステラもまた同じように、スターチスを巻きつけて結んだ。そうして、こう言う。──私の心は変わらないから。

「いつか全てが終わったら、またここに来よう」
「忘れたら怒っちゃうからね」
返信
返信0
月鳴さん (7biw6o6c)2019/11/27 00:38 (No.30447)削除
もし大切な人が二人とも彼女と同じ地を踏まなくなったなら。短いです。
「花に込めた少女の独白」
https://privatter.net/p/5226418
返信
返信0